前回、要介護の予防には「フレイル(虚弱)」の早期発見が重要であることから、当施設の『フレ
イル・サルコペニア健診』をご紹介しました。
今回はその重症化を予防・改善するための食生活について、お話させていただきます。
フレイルの診断基準に「体重減少」「筋力低下」がありますが、いずれも低栄養が一因となって発
生します。
身体機能が低下すると身体活動量が落ち、食欲が低下して、さらに低栄養素におちいってしまい
ます。
こうした悪循環を断ち切ることが、フレイル予防の重要課題となります。
そこで、まずは1日3食欠かさず食べる習慣をつけましょう。
欠食は、必要な栄養素やエネルギーの不足を招く原因になります。
3食をきちんと摂ること、そしてなるべく主食・主菜・副菜の3皿を揃えるようにすることによって必
要な栄養素をバランスよく摂取することができます。
また、筋肉の量や質が低下しないように、毎食、たんぱく質食品を「手のひら1枚分」摂るようにし
ましょう。
厚生労働省による『日本人の食事摂取基準』では、成人が一日に必要なたんぱく質量は摂取エ
ネルギーの13〜20%としていますが、最新の2020年度版では、フレイル予防を目標として、65歳
以上の高齢者のたんぱく質の目標量を摂取エネルギーの15〜20%と成人よりも最低量の数値
を少し高く設定しています。
一般的には、65歳以上の高齢者の場合、フレイル予防の観点から、体重1s当たり1日に1g以
上のたんぱく質を摂取することが望ましいとも言われています。
また、単に多く摂取すればよいというわけではなく、筋肉を維持するためには、朝昼夕の3食に
バランスよく振り分けて食べることが重要です。
さらに、骨を丈夫に保つために、カルシウムやビタミンDを多く含む食品を積極的に摂るようにし
ましょう。
きのこ類や魚類に多く含まれるビタミンDはカルシウムの吸収率をアップさせるだけでなく、筋力
の維持にも大きく関わっています。
ビタミンDは紫外線を浴びることで皮膚でも作られるので、適度な日光浴なども効果的です。
フレイルを予防し、健康寿命を延ばすためにも、日々の食生活を振り返ってみましょう。
※高松メディカルクリニック発行
メディカル通信VOL23(2018.5)より
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