明日開く 花の梢のほのあかり
散り敷いて凌霄花の尚艶やかに
淋しさは 銀杏落葉の往き帰り
石川 房子

草引いて疲れし五体ままならず
束の間の喉越し美味き冷茶かな
ボランティア蘇鉄一枚葉の重し
腕自慢得意の鋏梅雨の庭
剪定の評論厳し竹の秋
さくらんぼ十や二十はまたたく間
到来の産地直送さくらんぼ

池内 寿子



咲き初めし久万川沿いのカンナかな
あじさゑの花をゆらして鳥の声
梅雨あけて朝のしじまの戻りけり

岡崎 花子


紫蘇の香のなじみて梅のつかりけり
梅雨晴れやすがしき月の育ちおり
小流れによどみて迷ふ竹落葉

尾崎 由子


葦の葉に満ちくる潮のふくらめる
句碑寂びて古刹の庭の苔の花山梔子の香の匂いくる闇深し

小笠原 芳子


大鳥居仰げは流る夏の雲
湖渡る風に重ねて青葉風
みなく廻る水車や蛍狩り

田中 兼尾


自転車を押して峠の合歓の花十薬の一群なせる墓地境
川ゆるく一望はるか青田風

田内 千代子


俎板の魚の目と合ふ半夏生ほうり
さざめきも寂しき梅雨の葬りかな
あわあわ淡淡と梅雨満月の舟溜

安村  淑

〔広場〕 サークルだより