第13回 文化講演会 H25.12.11 高知電友会


『まんが・高知 楽しい話』
講師:まんが家 村岡まさひろ氏

 師走の恒例行事、第二二回文化講演会(NTT労組退職者の会との共催)を、12月11日高知商工会館で80余名の参加を得て開催しました。
 県民の多くが知っている高知新聞夕刊の人気四コマ漫画『きんこん土佐日記』の作家村岡マサヒロさん。37才の色白好青年が、年金世代の我々を引き込んで退屈させない楽しいお話を、一時間余り聞かせて下さいました。
 村岡さんは吾川郡伊野町で生まれ、現在もいの町に住んで制作活動を行っています。
 高知市内のデザイン専門学校を卒業後、2000年在京有名書店のコンペで奨励賞を受賞、同年『ヤングチャンピオン』掲載でマンガ家としてプロデビューしました。『きんこん土佐日記』始め、土佐弁や高知色いっぱいの漫画・イラストでおなじみの、高知に根付いた漫画作家・イラストレーターです。
 プロジェククーで絵や写真をふんだんに紹介しながらのお話でしたので、文字だけでは到底伝えきれませんが、楽しいお話のごく一部を誌上でご紹介いたします。
《気がつけばきんこん掲載十年目》
 『きんこん土佐日記』は2004年に高知新聞に連載を開始し、これまで8巻の単行本を発刊しています。気がつけば10年目になっているのですね。
 連載のきっかけは前年の黒潮まんが大賞(高知新聞社主催) で土佐弁の作品が佳作を受賞したこと。祝賀の席で新聞社の方に「4コマまんが連載の準備は何時でもできている」と半分冗談で話しておいた。幸いにも次の年は高知新聞100周年にあたり「何か面白い企画を」と考えていた同社から連絡をもらいました。実は準備などできていなかったがハッタリで「できる」と返事。急いで20本ほどの原稿を描き上げて届けたものでした。
《主人公は土佐弁の老夫婦》
 「よしきおじいちゃん」と「くにえおばあちゃん」 の老夫婦が主人公ですが、土佐弁をよう喋
る年代だからです。二人だけでは話が廻りにくいからということで「孫」を入れて、だいたいこの3人でいくと高知の出来事が廻せるのではないかということで措いています。直接のモデルはいないのですが、うちのおじいちゃんなどの生活モデルが元にはなっています。
 きんこんの由来は結婚して50年の金婚式とともに、長年連れ添った夫婦が阿件の呼吸で「キンコンカーン」と鐘が鳴り響くように会話が進むということを重ねて名付けています。
 『きんこん土佐日記』を描くために特に土佐弁を研究したということではありません。小さい時から育ってきた環境の中での「こんな時、うちのおじいちゃんおばあちゃんやったら、どうじゃったろう」と思い浮かべながら、全て経験に基づいた土佐弁を書いていまます。
《4コマ漫画の可能性を広げる》
 土佐弁で漫画を措いていると、高知の社長さんには地元愛の強い方がたくさんいらっしゃって、ひまわり牛乳の社長さんには「牛乳パックの側面を使うてかまん。なんぞおもしろいもんができんろうか」と、パックの側面に4コマ漫画を載せてもらっています。現在店頭に並んでいるのは5種類。お子さんなどは「このネタの漫画のパックの味がえい」などと言って選んでくれるほど浸透して来ました。
 JA土佐市の加工品を売るパッケージには、ホエールウオッチングができ、パラグライダーが飛べ、サーフィンができ、そして河口があって、畑の中に人が居る。写真だったらそういう風景を一つの画面の中におさめることばできませんが、漫画だったら誇張し凝縮して一つの場面に表すことができます。
 地元、いの町の製紙会社で作っているトイレットペーパー「やりこいロール」。恵みを受けている仁淀川風景を採り入れたらどうかとお話をいただき、包み紙に仁淀川の河原で子供達が遊ぶイラストを措きました。段ボール箱の側面が長方形なのでここにも描けると4コマ漫画を、そして柔らかさを表す赤ちゃんのおしりをこちらに向けたイラストを措いています。
 4コマで完結するので、別に雑誌でなくても縦長の所があれば4コマ漫画が措けるのではと、可能性を捜しながら生活しています。
《メモ帳は食材を貯める冷蔵庫》
 いつもメモ帳を持ち歩いていて、些細なことでもメモをしてきました。近頃はスマートフォンで記録しています。それ自体ではネタにならないようなことでも、他の事と組み合わせると使える場合があります。料理のために冷蔵庫に食材を準備して置くようなものです。
 高知には個性的な人がたくさん居ますよね。ネタの宝庫です。毎日連載ですが、ネタには苦労しません。
 県外へのアピールも良いけれど、地元の子供達が誇りを持てるようでないといけない。これからも高知のいいところを漫画に描いて 「高知は面白い所だよ、高知に住んでいるからこそできることが有るんだよ」ということを、漫画で伝えて行きたいと思います。高知を楽しく過ごして行きましょう。
 以上、講演内容を簡単にまとめてみました。
 スクリーン上へあっという間にたくみクン一家のイラストを描き上げてくれた興奮は、やはり誌上ではお伝えしきれませんね。村岡さんは、著力青を買った方には一冊一冊イラストでサインを下さる律儀な好青年で、後の忘年会にも気軽に参加して下さり、ますますファンになりました。今後も土佐弁満載で高知を元気にしてくださるものと期待しています。
皆で応援していきましょう。