「地域にお返ししょう」      先輩の一言で町内会役員に
195号 刈谷幸子さん(高知市) 
(取材 山崎禎子) 

 今回の頑張る仲間は、静と動を持ち合わせまた土佐のハチキンを代表する女性、刈谷幸子さんを紹介します。
 OBサロンで月二回開かれているお茶の教室「ふじの会」 にお邪魔しました。OBサロンの畳の部屋をお茶室にしつらえ、今回は3月ということで可愛いお雛様の御軸と桃の花の飾ってある前でのお稽古が開かれていました。
生徒さんを教える刈谷さんの凛とした声が静かな部屋に響き、お邪魔した私も少し緊張しました。少しお時間を頂き退職後の数々の地域活動等のお話をお伺いしました。
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 先日五〇数年ぶりに知人の元気な消息を、四国電友会会報を通じて知ることが出来ました。
早速電話するも補聴器の御世話では積もる話もままならず、退職後二十年間の生活を電友会会報の紙面をお借りして知人にお伝えしたく、お話を進めて参ります。
 私は昭和二三年旧電電公社入社、平成五年に退職、退職後約五年間元の職場で勤務し愈々フリー生活に入りました。その時、先輩に「これからは、今迄地域に不義理した分お返しする義務がある」との助言を頂き忠実に実行しました。
 まず町内会長を引き受け町内での問題点、特に高知市への交渉などあの手この手で全知全能を駆使して解決を図りました。
 日本セメントが石灰搬送を地上から地下に変更したためできた空き地の利用を考え、高速道の協力費を利用して、集会所、公園の設置を実現しました。
 自主防災組織の設立(平成一三年高知市の助成金を受ける)、昭和南海地震の被害者として町内の賛同を得て毎年二月に防災訓練、防犯学習を町内会独自で行っています。
 一宮コミユニティ推進市民会議の停滞していた活動を、近所の奥さんと二人で女性パワーを発揮し開始しました。「一宮ふれあいまつり」の立ち上げ、広域に渡る地域の活性化を目的とする。在職中の経験を活かして、手探りの 「まつり」から華やかな祭に定着、今年で一四回目を迎えようとしています。
 一宮交通安全母の会設立、高知市交通安全課から設立の要請を受け地区の女性の協力を得て活動を開始。
 開かれた学校作り委員交通安全などで小学校に出入りするうち学校の最大の悩み、挨拶、が出来ない、落ち着きががない事等の解決策としてお茶クラブ、お茶教室を提言しました。お茶教室は年に一回三年生から六年生まで全児童を対象に眞(丁寧なお辞儀)行(少し丁寧なお辞儀)草(簡単なお辞儀会釈)等お辞儀の仕方、人の話を聞くなど厳しく指導しました。児童も叙々に落ち着き始め挨拶も出来るようになりました。
 この教室には一〇年近くNTTOGの方々の協力を頂いています。保育所2か所からも茶の指導の要請を受け、九年目を迎えると園児が挨拶が出来ることは勿論の事園児が保護者をしつけるのか最近は、保護者の方も私たちに頑を下げてくれるようになりました。NTTOGのTさんの協力が大きな力になっています。
 かっては娘も茶に興味を持ち2歳から稽古に連れて行きましたが、茶会の待ち時間の長さに辟易、帛紗ばさみを振りかざし大きな声で歌ったり踊ったり、大人を捕まえて「そんなお猿さんのような歩き方をせられん」と云ったり恐縮の至り。そんな娘も小学2年生の終わりに本人の希望でクラシックバレーを始めると、お茶に全く興味を示さなくなりました。今は懐かしい思い出です。
 以上現在までの主な生活のあらましでありますが、現在満八一歳すこしずつ身辺整理をしようと思っています。
 今後は地区の「いきいき百歳体操、かみかみ百歳体操」の世話役と、半世紀以上続けている「和のマナー」茶道を次の世代を担う子供たちに伝えていこうと思っています。
 以上が私の退職後二〇年間主な仕事です。
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 八一才とは思えぬはきはきとした受け答え、身辺整理をするのはまだまだ先の話のように思われます。
 これからもお元気でご自分も健康管理をしながら、小さい子供たちに和の心を伝えていってもらいたいと思いました。
トピックス 195号掲載