人形劇団「こぐま座」で活躍中
谷 律枝(土佐清水市) 
(取材 高橋慶子) 

 今回は、高知市から車で約3時間…足摺岬のある土佐清水市で手作りの人形劇団員として、子供たちを喜ばせて続けて13年になる、高知電友会会員の谷律枝さんを訪問しました。

 谷さんは、昭和37年土佐清水電報電話局に入社、電話交換や線路・総務課等に勤務し平成11年に退職(勤続37年)しました。
 退職後は、親の介護や家事の日々に追われていました。その後、平成15年に地域や子供たちに少しでもお役に立てればと、土佐清水市立市民図書館のボランティアで図書の修繕に係わるようになりました。
 図書の修繕をするうちに「もっと子供たちを喜ばせたい」…何かないだろうか…と思っていた時、図書館の職員の方から人形劇をやらないかという話があり、人形劇の本を指導書として、仲間たちと人形作り・台本作りを一から始めました。
 みんなで、ああだこうだと試行錯誤しながら、苦労の末、最初にできたのが「あかずきんちゃん」で、現在は合計9つの作品の人形やセットが用意されているとのことです。
 メンバーは5名(NTT-OBが谷さんを含め3名)。全員が出演して成り立っていることから、「無理をしない」「メンバー一人一人に負担にならないよう助け合う」をモットーに、仲間同士の「和」を大切に頑張っている少数精鋭の人形劇団、その名も『こぐま座』。
 こぐま座の名は土佐清水市内に知れ渡り、子供や保育園から「是非うちにも来てください」と、公演依頼がだんだんと多くなるにつれ、「応じられなくお断りせざるを得ない場合もあり、その時は申し訳ない気持ちで一杯」とのこと。
 この13年での活動歴は市内の保育園(おたんじょう会など…)や病院のデイサービス・いきいきサロン・身障者施設などで、実に170回公演を達成しているのには驚きと感銘!
 公演は1回20分、出ずっぱりで、手をあげた状態での演技、片手に人形、もう一方の手に台本、舞台セットの入れ替えなど大変な労力がいるようです。
 また季節感を出す工夫…春は桜に秋は紅葉と木々を変身させたり、クリスマスなどの行事には、それなりの変化を付けている。
 「最初の頃は台本を読むのが精いっぱいだったのが、子供の反応に方言やアドリブも入れるようになったよ」と話す皆さんの笑顔は輝いて見えました。
 ここまで続けられた要因は、「メンバー5人の特技(絵、裁縫、工作、ミニ大工…)を生かし、試行錯誤で失敗もありだけど…地道に、コツコツ続けて、9つもの作品の人形及びセットを作れたこと」「家族の理解も大きかったし、何でも言い合える気のおけないメンバーだったから」と、いうことです。
 谷さんは「13年もやれたのは子供たちが喜んでくれ、笑顔を見せてくれることが一番の原動力かな…」と笑いながら話してくれました。
【取材を終えて】
 今回の取材は、9月9日下川口保育園での公演前の練習、『ヘンゼルとグレーテル』を見せてもらいました。外国のお話なので金髪のお人形でした。
 練習時間は、人形劇に対するメンバーたちの熱い思いと仲の良さを感じて微笑ましい気持ちになりました。
 これからのことを聞けば、「人数を増やして公演に対応できる余裕を持ちたい。若い人にも参加してもらい、継承していけるとうれしいね。」とのこと。
 『続けられるだけ続けて、子供の笑顔に触れ、元気で年を重ねていくのが楽しみ』であるように思えて、うらやましい気持ちになりました。
 土佐清水の子どもたちにとってなくてはならない存在となっている「こぐま座」の皆様の益々のご活躍を祈りながら土佐清水を後にしました。
【追記】
 こぐま座の活動は今年3月16日の高知新聞に掲載されました。そのため、益々お呼びがかかって日程調整に嬉しい悲鳴を上げているようです。
トピックス 201号掲載