郷土史研究に魅せられて
209号 東野 博文(土佐市) 
(取材 邑田正次・松丸純二) 

 今回は土佐市在住で、NTTを定年退職後に土佐史談会会員となり、郷土史研究等の活動をされている東野博文さんにお話を聞きました。

 東野さんは昭和41年に当時の電電公社に入社し西条電話中継所に配属となり、その後新居浜、須崎、高知で伝送無線部門に勤務され平成20年に札場ビル勤務を最後に退職されました。
  趣味は磯釣り、写真などでしたが現在はボランティア活動、土佐の歴史研究と忙しい日々を送られています。

   郷土史研究のきっかけ

 本屋で手にした土佐史談会の機関誌をみて興味を持ち、退職後に地元の歴史勉強会に参加、同人誌に投稿をしだした事に始まる。

   論文「土佐国における馬(ま)牧(き)の成立とその過程」

 退職1年後に土佐史談会に入会し、その機関誌「土佐史談」に掲載されることを目指して土佐の歴史を研鑽。そのなかで、馬の供給を担った馬牧に注目しそれを研究して平成28年に論文形式にまとめ上げた。
 自分としては最初の論文が土佐史談第二六二号(2016年7月)の巻頭に掲載され、続けて第二六三号(2016年12月)、第二六四号(2017年3月)といずれもそうであった事にびっくりした。

   平尾学術奨励賞を受賞

 この論文により第38回平尾学術奨励賞を受賞。思いがけず頂いた賞にほんとうに驚いている。また、高知新聞に第38回平尾賞の受賞者決定の記事、後日に平尾賞贈呈の記事、あと関連の記事あわせて全4回の新聞掲載があり、沢山の方からお祝いの言葉等をいただいた。

   今後の活動予定・抱負について

 馬牧とは飛鳥から平安時代に当時の交通ルート上に馬の供給を担った官営牧場のことであり、今回まで南国市の沼山村馬牧、須崎市の灰方馬牧、佐川町の尾川馬牧、四万十市の中村郷藤之村馬牧についてその場所や役割を研究して発表してきた。
 そして、それは高知県内にまだまだ多数あったのではないかと考えている。古い文献で調べ残りの馬牧についても研究を続けていきたい。

   ボランティア活動

 平成21年から交通安全指導員を続けている。
 ネクタイ締めの制服姿で朝は一時間以上、夕方も。これを年間130〜140回実施している。
   また、保育園から高校まで学校等に出向いて横断歩道や自転車の乗り方についての安全指導も行うがこの場合は3〜4時間を要することになる。
 これは各自治体の組織だが土佐市の場合、いの町、日高村を含む広域で活動している。いま、土佐市では私を含め12名が頑張っています。

(取材を終えて)
 もともと歴史が好きだった訳ではないと言う東野さんですが、「日本書紀」で高知県内関連個所を記した原文(漢文)、それの読み下し文、またそれの現代語訳と分厚い本の中からそれぞれそのページを見せて、現代語訳でないと理解できないと言います。
 それでもすごすぎると思いました。
 「古い文献に現在に残る地名を発見したときはすごくありがたい、漢字が違ったり読みかたが少し違うのは後に変化した可能性もあるので見落とさないようにしている」とのことです。ボランティア活動もですが、私にはとてもできないこと、すっかり感銘いたしました。
 最後に、これは書かなくてよいと言われましたが、11月5日に「土佐国における馬牧(まき)の成立とその過程」の演題で高新文化教室講演会が開かれます。場所はRKC高知放送南館です

トピックス 209号掲載